ネコちゃんのカゼとワクチン

  急速に秋も深まってきました。寒く乾燥してきて、ヒトだけでなくネコちゃんもカゼの注意が必要な季節になってきました。そこで今回はネコちゃんのカゼのお話です。

主なカゼの原因は?

 ネコカリシウイルス、ネコヘルペスウイルス・・・これらのウイルスがまず初めに感染することによってカゼが始まります。

 ボルデテラ、クラミジアなど・・・・細菌です。カゼが始まった子に、さらにこれらが感染することによって(二次感染)症状が悪化します。

 

どのように感染してしまうのか?

目、鼻、唾液がくしゃみで飛ぶことによって・・・カゼのイメージとしては当たり前と思います。

毛、うんち、おしっこに触れることによって・・・「毛」はネコちゃんがいる環境ならどこにでもあります。ノラネコちゃんが歩けばあちこちに毛は落ちているということです。

ご家族の方の服や手などから・・・特にウイルスは長時間生きることができます。例えばオーナー様がノラネコちゃんの近くを歩いただけでも、ウイルスが飛んで来たり、「毛」がくっついたりすることがあります。そのまま家に帰れば家の中にいるネコちゃんにも感染してしまいます。

ストレスによって・・・感染しているネコちゃんは症状の有無に関わらず、ストレスがかかることで病原菌を体から放出し始めます。多頭飼育をしている場合は問題になってしまいます。

ワクチンは大切

 感染してしまう理由で注目しなくてはならないのは、「直接カゼのネコちゃんに触れなくても感染する可能性がある」ということです。つまり家の中で飼育していても感染しうるということになり、ワクチンは必要ということになります。

 残念ながらワクチンで100%感染を予防できるわけではありません(ヒトもインフルエンザワクチンを接種してもウイルスの型が合わずに感染してしまうことがあるのと同様です)。しかし、もし感染が起こってしまってもワクチンには「症状を軽減する効果」が期待できるので、接種しても決して損はないのです。

 日本でのネコちゃんのワクチン接種率は非常に低いと言われています(10%程度)。ワクチンを接種することで得られるメリットはとても大きいですので、ネコちゃんのためにワクチンを接種してあげることをお勧めします。

 

ノミ・マダニの予防

梅雨に入り蒸し暑い季節になってきました。そろそろ本格的にノミ・マダニも増えてくる季節です。ノミ・マダニに吸血されるだけでなくそこから多くの病気になってしまうことがありますので、予防をしてあげることでさらなる病気にもならないようにしてあげることをお勧めします。

ノミに寄生されることの問題

・血を吸う

・痒み

・ノミ自体やノミのフンによって起こるアレルギー(特にネコちゃんに多い)

・痒みによって体をかいてしまい、キズにばい菌が感染してしまう

・ヒトが誤って吸血されたり、ヒトがノミに対してアレルギーになる       など

 特に大きな問題になりやすいのは、ノミアレルギー二次的な皮膚炎(掻きむしる、ばい菌の感染)です。また、大量のノミに寄生されると貧血を起こすこともあります。

マダニに吸血されることの問題

・血を吸う

・痒いよりも痛い

・アレルギー反応によって、吸血された場所が腫れあがる

・バベシア症                                など

 もしも足の裏などを吸血されるとひどい痛み足を挙上したりしてしまいます。さらにアゴが深く皮膚に入り込むことで腫れあがりなかなか治らないこともあります。

 バベシア症は赤血球を破壊してしまう寄生虫の病気で、貧血を起こしてしまいます。最近になって関東地方でも見られるようになってきた病気です。治療方法も確立していない病気ですので、しっかりとマダニの予防を行って感染しないようにしてあげることをお勧めします。

 

フィラリア予防の季節です

今年もフィラリア予防の季節がきました。

 フィラリアは、もしも感染してしまうと命に関わる寄生虫ですのでしっかりと予防しましょう。予防期間は5月から12月までの8ヵ月間が安心です。

 また、今年もフィラリアの血液検査と合わせて血液検査による健康診断のキャンペーンも行っていますので一緒に行ってみてはいかがでしょうか。特に、「健康そうに見える子」でも隠れた病気の早期発見につながるのでお勧めです。

 ネコちゃんのフィラリア予防もお勧めしていますので、「ネコちゃんのフィラリアって?」と思われた場合は気軽に相談していただければと思います。

仔ネコちゃんを飼ったら

最近、仔猫ちゃんを拾ったり里親になった方が多く来院され、何かしらの病気に感染してしまっていることがほとんどです。

1 風邪・・・拾った子に多く見られます。目やに、くしゃみ、鼻水が主なサインです。

2 消化管内の寄生虫・・・下痢をしていなくても感染していることがあります。回虫、コクシジウムが多い傾向にあり

             ます。

3 外部寄生虫・・・ノミの感染は非常に多くみられます。また、一見するとわからないのですが耳の中に寄生するダニ

          もいることがあります。

4 外耳炎・・・細菌やカビの一種の感染で耳の中が汚れている・炎症を起こしていることがあります。

5 ネコエイズウイルス、ネコ白血病ウイルス感染・・・とても健康に見えても感染している可能性があります。

                          年齢を重ねると健康に害を及ぼすウイルスです。血液検査で感

                          染を確認することができます。

 他に問題を抱えている子もいますが、早期に発見・治療をすれば治りもそれだけ早いものが多いです。もしも仔ネコちゃんを拾った・貰ったときは早めに来院していただければと思います。